開発秘話その2 スタートの明るい光
こんにちは
株式会社浅野屋代表の岸です
今回は希望に燃えて
工場を作った頃のお話をしていきます
どうぞよろしくお願いいたします
工場を作ることを
決めたまでは良かったのですが
では
XENOという想いを形にするには
はたしてどんな工場を作ればいいのか?
それまで
製造には一切関わったことのない僕には
まったくわかりません
そういうときには
専門の人に頼るに限ります
鯖江の眼鏡職人
技術が売りの町工場を継いだ同級生
大きな食品加工工場を経営する先輩
ロボットを作っている友人
工業大学の先生
等々
頼れる伝手をすべて頼り
つくりたい眼鏡のラフ画を持って
聞けるだけの話を聞きました
その中で分かってきたことは
いまの眼鏡の生産地=鯖江でとられている
切削加工という製法ではやはりダメで
型を作って製産する
射出成型という製法でないと
XENOは形にならない
ということがわかってきました
射出成型についても動画でご紹介します
眼鏡の成型ではありませんが
一番分かりやすかったし
まったくもってこの通りの作業ですので
こちらの5分7秒の動画でご紹介します
しかも素晴らしいことに
私の出身及び現所在地の愛知県は
車やパチンコの部品の製造が盛んなため
射出成型では優れた技術を持っています
その技術を
眼鏡の製造に活かすことができれば
XENOは形になるんじゃないか
複数の方が
口を揃えておっしゃったのです
なんというラッキー!
工場を作るなら地元
と決めていた僕には渡りに船
技術がある愛知県なら
型を作ってくれるところも
射出成型を請け負ってくれるところも
ほどなく見つかるだろう
ということは私は
磨きや仕上げに特化した工場を作ればいい
であれば
工場を作りXENOを産み出すこの計画も
上手くいくのではないだろうか
また
工業大学の先生から
喜んで協力するとの言葉もいただき
私は嬉しくなり
型や射出成型をお願いする工場を探す旅に
颯爽と出かけたのです
ところが……
どの型屋さんからも
どの成形屋さんからも
いい返事がいただけません
その最大の理由は
使用ペレット(射出成型に使う米粒のような素材のこと)
切削仕上げのプラスチックの眼鏡は
アセテートという生地で作られています
(ほんの少数セルロイド製もあります)
XENOも
まったく同じクオリティで仕上げたかったので
成型材料はアセテートと同じ組成の
アセチというペレットを選びました
*ペレットとは↑こんな感じのものです
ところがこのアセチ
ただひたすら使いにくいということで
ほとんど使われていないのです
(象牙イミテーションの判子と
ドライバーの握りの部分に
かすかに使用されているかもというレベル)
それ故
「うーん、アセチですかぁ
やったことないし、うーんん」
と
どの型屋さんからも
どの成型屋さんからも
同じような反応が返ってきました
けれど
そのときの私は希望に燃えていました
必死で探せば
必ず見つかるはずだと執念を燃やし
結果なんとか
型屋さんも成型屋さんも見つけ
試作一号として「紫電-XENO」というモデルに着手しました
そんな私に
朗報も飛び込んできました
愛知県から
県内の地域産業資源を活用した新事業展開と認定され
地域産業資源活用応援ファンドとして
助成金をいただけることになったのです
2011年から2012年に
年が変わろうとしているとき
新年を迎える私は
これでXENOが形になると
希望に満ちていました
しかし……
もう見当はついていますよね
ほとんどが断るを
「受けてもいいよ」ということは
そこにはなんらかの事情があるわけで……
開発が本格化した2012年の春以降
その底なし沼にはまりこんでいくのです
(続く)